やっております。仕事の合間にVFX。
正直言って私のやっているようなことは、それほど難しいことではありません。
難しいことはVFXの専門家にお願いしておりますので。

相変わらず、ガンエフェクトを頑張って付けているわけです。

今回は前回よりもグっと難易度が上がりまして、こちらです・・・
  

奥でも撃って、手前でも撃って。
さらにそれが床や壁に着弾するという結構な感じです。 
さらに色々なものが置いてあって奥行きがある構図です。

いろいろな要素があるんですが、今日お話ししたいのは「カメラに背中を向けて銃を乱射する奴は超面倒くさい!」ということです。
ちなみにこの手前の人物を演じて下さっているのは萩田博之さんです。
身体能力の高い役者さんな上に、これ見よがしのダンディズムをお持ちなので私の作品では本当に重宝しております。
そんな萩田さんはぜんぜん悪くないという事はお伝えしておきます。

何がどう面倒くさいかと言いますと、前回同様に銃口からのマズルフラッシュ(炎と煙)を画面に足すわけです。

普通に画面にそのマズルフラッシュを足すとこうなります。
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エフェクトは画面の上にしか置けないので背中を突き抜けてしまったようになります。
そこで、この手前の萩田さんを切り取ってさらに上から貼り付けるのです。

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マウスで一生懸命この萩田さんを切り抜くわけですね。
この萩田さんのまわりの黄色い線が切り抜いた跡です。

しかしながらこの萩田さん、まだまだ銃を撃ち続けますし、撃った後の煙はまだ残り続けているので次のフレームも切り抜かなければ行けません。

で、次をみると・・・
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萩田めっちゃうごいとるやん!

・・・ということでマスクを切り直します。
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こんな調子で全フレーム切り取る必要があります。
映画というのは1秒間で24フレームあります。このカットはおよそ1秒14フレームなので、全部で38フレームでこの手作業を繰り返す必要があるわけです。

さらには萩田だけでなく、箱だったり奥の人物だったり、奥行きを表現する分だけ乗算されるので本当に大変です。

さすがにここ最近のテクノロジーのおかげでオートマチックに追尾してくれる機能なんかもあるんですが、この萩田の素早い動きにはなかなかついてきてくれません。
もっと良い方法があるのかもしれませんが、私は馬鹿正直に手作業です。

ちなみに、手前の箱に銃弾があたった演出をするために、手前の箱も切り抜く必要があるのですがこう言ったグネグネ動かないものに関しては割りとオートマチックで行けるので楽なもんです。

萩田はグネグネ動くのでダメです。ぜんぜんダメです。

一生懸命グネグネ動く萩田と戦ったおかげでこんな仕上がりになりました。

 

これでまだ完成ではなく、もう少し細かい部分を作り込んでこのカットは完成となります。

というわけでダンディー俳優 萩田博之さんに全力で土下座しつつ本日はこの辺で!

40代俳優-萩田博之4

ども代表のやまけんです。

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本日は『薔薇七:BEAGLE』という作品のVFXをやっております。
VFXといっても別にビルがぶっ壊れたり、車がロボットに変形したり、カメが棒振り回したりするようなものではなく、いわゆるガンエフェクトと言われるものです。

例えば撮影現場では、ただのモデルガンを持って役者さんに演じてもらいます。
もちろん弾も出なければ火も出ません。場合によっては音も出ません。
ここは役者さんのイマジネーションとパントマイムに頼ります。

こちらをご覧下さいませ。


これは撮りっぱなしの映像です。
一応、雰囲気が出るように発砲音のダミーが入っていますが、絵だけでは発砲しているようには見えません。

画面上の●印は発砲のタイミングをVFXを付けてくれるメンバーに知らせるための印です。
●印が出たタイミングでエフェクトを入れて下さいという指示です。

そんな印を入れたにもかかわらず諸事情で自分でエフェクトを入れることにあいなりましたので、ついでに皆様にその過程をお伝えしようという魂胆です。

ちなみに私はAdobeAfterEffectsCCというソフトを使ってます。 

まずはマズルフラッシュといわれる発砲時に銃口から飛び出る炎を付け足します。
私が使っているマズルフラッシュの素材はライセンス購入した商用向けのものですが、1フレーム表示されればそれっぽくはなるので、Google画像検索なんかで見つけてきても良いと思います。
動画素材もYouTubeなんかにあります。

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こちらに・・・

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こんな感じで貼り付けます。
あんまりそのまま貼り付けると嘘くさくなるので馴染むように透明度を調整します。
画面のフォーカス具合に合わせて少しぼかしを入れると馴染むこともあります。
状況に応じては描画モードというのも変更するとそれっぽくなることがあります。

でも、まだなんか嘘くさいので、さらに手を加えます。

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どこが変わったか分かりますでしょうか。
煙を足しております。撃った瞬間煙が出るわけです。
静止画だと分かりにくいですが、動くとその効果は一目瞭然です。

今回のシーンでは室内で暗めのシチュエーションなのでマズルフラッシュを割りと派手に見せておりますが、日中屋外の設定の時なんかはマズルフラッシュはほとんど見えず煙しか見えないって事もあります。
リアリティーという意味ではガンエフェクト時はマズルフラッシュよりも煙の方が大事だなと思います。
煙の素材もこちらは有料のものですが、YouTubeでも手に入ります。

そうこうやって完成したのがこちらになります。 


マズルフラッシュ、煙の他に分かりにくいですが薬莢が飛び出しております。
さらにはマズルフラッシュと同じタイミングでレベル調整というエフェクトで画面を少し明るくしています。 

ガンエフェクトの基本要素はこの「マズルフラッシュ」「煙」「薬莢」「画面を明るく」 の4つでしょう。

さらに細かいことを言うと、画面が軽くなるのは良いのですが光の方向を考えると手前の人物の影まで明るくなるのはおかしいので光る瞬間だけその人物を切り取り光らないようにします。

これをマスク切りといいます。

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と、まぁこんな感じで2秒に満たないこのカットにこんな手間暇をかけてやってるんですよと言うお話でした。
これは恐らくガンエフェクトの中でも一番簡単な部類です。

ここに撃たれている人が写っていたら撃たれている人側にもエフェクトが必要ですし、マズルフラッシュや煙に人が重なっていたら そこにもマスクをかけなければいけません。
こういった面倒くさいことをうちのメンバーは一生懸命やってくれるのです。
久しぶりに自分でやって、大変さを痛感致しました。改めて感謝です。 

でも、まぁ楽しくもあります。
もしこの作業に興味を持った方がいらっしゃいましたら、いつでもProjectYamakenの事務所に遊びに来てください。しばらくこの地味な作業をやっておりますので実際にご覧頂くことが出来ますよ。

地味ですけどw 

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ProjectYamaken代表の山岸です。
この度、我々ProjectYamakenのブログをはじめることとなりました。

実は数年前にもやっており10年近くも続いたのですが、忙しさにかまけてほったらかしておりました。
ここは一念発起と言うことで、改めて新ブログをはじめさせて頂きます。

沢山の方に我々ProjectYamakenという自主制作映画団体を知って頂き、自主制作映画の可能性を広げていくことが出来れば良いなと思っております。

これから映画を作ってみようという方達にも有益な情報が出せれば良いなと思っております。

どうか皆様よろしくお願い致します。


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