ども代表のやまけんです。

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本日は『薔薇七:BEAGLE』という作品のVFXをやっております。
VFXといっても別にビルがぶっ壊れたり、車がロボットに変形したり、カメが棒振り回したりするようなものではなく、いわゆるガンエフェクトと言われるものです。

例えば撮影現場では、ただのモデルガンを持って役者さんに演じてもらいます。
もちろん弾も出なければ火も出ません。場合によっては音も出ません。
ここは役者さんのイマジネーションとパントマイムに頼ります。

こちらをご覧下さいませ。


これは撮りっぱなしの映像です。
一応、雰囲気が出るように発砲音のダミーが入っていますが、絵だけでは発砲しているようには見えません。

画面上の●印は発砲のタイミングをVFXを付けてくれるメンバーに知らせるための印です。
●印が出たタイミングでエフェクトを入れて下さいという指示です。

そんな印を入れたにもかかわらず諸事情で自分でエフェクトを入れることにあいなりましたので、ついでに皆様にその過程をお伝えしようという魂胆です。

ちなみに私はAdobeAfterEffectsCCというソフトを使ってます。 

まずはマズルフラッシュといわれる発砲時に銃口から飛び出る炎を付け足します。
私が使っているマズルフラッシュの素材はライセンス購入した商用向けのものですが、1フレーム表示されればそれっぽくはなるので、Google画像検索なんかで見つけてきても良いと思います。
動画素材もYouTubeなんかにあります。

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こちらに・・・

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こんな感じで貼り付けます。
あんまりそのまま貼り付けると嘘くさくなるので馴染むように透明度を調整します。
画面のフォーカス具合に合わせて少しぼかしを入れると馴染むこともあります。
状況に応じては描画モードというのも変更するとそれっぽくなることがあります。

でも、まだなんか嘘くさいので、さらに手を加えます。

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どこが変わったか分かりますでしょうか。
煙を足しております。撃った瞬間煙が出るわけです。
静止画だと分かりにくいですが、動くとその効果は一目瞭然です。

今回のシーンでは室内で暗めのシチュエーションなのでマズルフラッシュを割りと派手に見せておりますが、日中屋外の設定の時なんかはマズルフラッシュはほとんど見えず煙しか見えないって事もあります。
リアリティーという意味ではガンエフェクト時はマズルフラッシュよりも煙の方が大事だなと思います。
煙の素材もこちらは有料のものですが、YouTubeでも手に入ります。

そうこうやって完成したのがこちらになります。 


マズルフラッシュ、煙の他に分かりにくいですが薬莢が飛び出しております。
さらにはマズルフラッシュと同じタイミングでレベル調整というエフェクトで画面を少し明るくしています。 

ガンエフェクトの基本要素はこの「マズルフラッシュ」「煙」「薬莢」「画面を明るく」 の4つでしょう。

さらに細かいことを言うと、画面が軽くなるのは良いのですが光の方向を考えると手前の人物の影まで明るくなるのはおかしいので光る瞬間だけその人物を切り取り光らないようにします。

これをマスク切りといいます。

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と、まぁこんな感じで2秒に満たないこのカットにこんな手間暇をかけてやってるんですよと言うお話でした。
これは恐らくガンエフェクトの中でも一番簡単な部類です。

ここに撃たれている人が写っていたら撃たれている人側にもエフェクトが必要ですし、マズルフラッシュや煙に人が重なっていたら そこにもマスクをかけなければいけません。
こういった面倒くさいことをうちのメンバーは一生懸命やってくれるのです。
久しぶりに自分でやって、大変さを痛感致しました。改めて感謝です。 

でも、まぁ楽しくもあります。
もしこの作業に興味を持った方がいらっしゃいましたら、いつでもProjectYamakenの事務所に遊びに来てください。しばらくこの地味な作業をやっておりますので実際にご覧頂くことが出来ますよ。

地味ですけどw